放送日:2008年3月19日
あらすじ(ネタバレあり)
公式
死刑囚の錦貴文(久松信美)が獄中で死亡した。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は病死であることを証明するための解剖に立ち合うが、右京は貴文の刑が19年間も執行されなかったことに疑問を抱く。
25年前、解雇されたことを恨み、元上司の妻を包丁で刺すと家に火を放ち娘をも殺害した貴文。無罪を主張したが、いくつかの証拠が決め手となり死刑が確定していた。
しかし、一方で貴文を無罪と信じる弁護士・茂手木(ベンガル)は再審を請求していたが棄却されていた。
右京は当時の裁判官の生き残り、あの三雲判事(石橋凌)から事情を聞くが、三雲は正式な捜査でなければ、と多くを語ろうとしない。そんな折り、貴文の事件を担当していた黒木警部補(成瀬正孝)が何者かに殺害された。
刑が執行されなかった理由にこだわる右京に、小野田(岸部一徳)はそれとなく黒木殺害事件の捜査を促す。右京は小野田の勧めに従い、法務大臣を辞任したあとシスターに転身したゆり江(かとうかず子)に会いに行く。法務大臣時代は死刑執行命令書にサイン、その度に懺悔に言っていたというゆり江。しかし、あるとき貴文の教誨師をしていた神父から、無実を叫ぶ貴文に死を受け入れる心の教えをした、と告白されたという。神父は不適当だった、と教誨師を辞任。ゆり江も貴文の再審請求が棄却されてから、死刑執行命令書にサインできなくなり大臣を辞任した。
「誰だってそんなものにサインしたくない」。
ゆり江は大臣時代の苦悩を右京に打ち明ける。黒木警部補に続き、貴文の母娘放火殺人事件を担当していた緑川検事(遠藤たつお)の他殺体が発見された。警視庁は合同捜査本部を立ち上げ本格的な捜査に乗り出すが、右京と薫は黒木と緑川に恨みを抱く貴文の父・文忠(林隆三)から話を聞く。
アリバイはない、と言い切る文忠は証拠の矛盾を無視した裁判所への怒りを露にする。貴文の死刑が確定した年に妻を自殺で失った文忠。その怒りももっともだが…。犯人に感謝しているとさえ言い放つ文忠に捜査本部も疑惑の目を。右京も文忠を容疑者というが、薫はどうしても納得できない。右京と薫は茂手木を訪ね、文忠が言う証拠の矛盾について説明を受ける。決め手となった血液掌紋の指紋は不明確、靴痕にしてもスニーカーの量産品だけに貴文のものと決めつけるのはおかしい。茂手木は怒りを露にするが、逆に貴文は再審請求がダメになり達観するようになったという。自分は前世で悪い行いをした、だから現世で処刑されるのだ、と笑顔さえ浮かべていた貴文。茂手木の再審請求も最後まで拒み続けていたという。
黒木警部補が殺害された当日、25年前の母娘放火殺人事件の関係者の指紋と何者かの指紋の照合を依頼していたことがわかった。が、誰の指紋と一致したのか?伊丹(川原和久)は文忠の指紋ではないか、と推理するが…。
三雲判事が貴文の死刑が確定した年に離婚していた。貴文の死刑を待ち続けていた被害者の元恋人・飯田(ひかる一平)、妻を亡くした文忠、さらに茂手木、ゆり江、三雲…。25年前の事件はさまざまな人たちの人生を狂わせてきたようだ。
文忠が東京地裁に緑川検事を訪ねていた可能性が高くなった。黒木警部補は25年前の事件の真犯人を突き止め、緑川検事に話した。そして殺害された…。右京は飛躍ともとれる推理をする。
貴文が25年前の事件で現金を盗んでいたことがわかった。ということは、犯人の手元には今の札とは違うデザインの旧札があるはず。生活安全課の古物担当だった黒木はその旧札を売りに来る人間をマークしていたに違いない。そして、その人間の指紋を25年前の事件の関係者と照合させて…。
さらに右京はゆり江から国も貴文が冤罪ではないか、という疑いを抱いていた事実を知らされる。だから刑が執行されなかったのか。さすがの右京も衝撃を受けて…。薫の追及に文忠が緑川検事を訪ねていたことを認めた。先に黒木警部補が大切な話があるとやってきたが、怒りが込み上げ追い返したという文忠。しかし、気になって改めて面会しに行ったが、黒木、緑川の姿に怒りが抑えられなくなり、そのまま会わずに帰ってしまったという。そんな文忠に2人の殺害容疑がかからぬよう、三雲が地裁の来訪記録を破棄したらしい。
右京はそんな三雲に令状をとって欲しいと請求する。
「25年前の真犯人がわかりました」。
右京の言葉に三雲の表情も一気に凍りつく。右京と薫は伊丹らと令状を手に飯田の自宅へ。捜索の結果、旧札の札束が多数発見される。指紋を調べれば飯田が犯人であることは明らかになる。そんな右京の言葉に飯田は犯行を自供、しかし事件は時効だと開き直る。
が、今度は黒木が持ち出した25年前の飯田の指紋シートが発見された。指紋から真相をつかんだ黒木と緑川を殺害したのは、やはり飯田…。伊丹らは悔しげに自供する飯田を逮捕。右京はそんな飯田に事件の関係者が味わってきた苦しみを伝える。そして右京と薫は文忠をとともに三雲のもとへ。改めて無罪の息子を死刑囚にされ、妻を失った怒りをぶつける文忠。しかし、三雲もその苦しみを忘れぬよう判決文を常に持ち歩いていた。
「三雲さん、私はあなたを許します」。
忠文の言葉に三雲はただただ涙を流して…。その三雲判事が裁判官を辞めることになった。つまり、かつて裁判員制度を止めるため、一人の人間を殺してしまった責任を、右京は三雲にとらせる形となったわけだ。
「残酷なことをするねえ」。
そういう小野田に対して薫は右京を庇う発言をするが、実は三雲は右京が頼んだ令状のため、裁判官を辞めさせられるのだという。
「杉下の正義は時に暴走するよ」。
小野田の言葉に言い返せない薫。そんな薫はつとめて明るく右京に語りかけるのだった。
「ラーメン食いません?」。ゲスト:林隆三 石橋凌 ベンガル
三雲法男(石橋凌)は相棒6 第1話 「複眼の法廷」で登場。
感想/気になる点など
- 最高裁で死刑確定(1989年)の記事に「93年2月」とある。
- 元法務大臣の橘ゆり江は「5年前に法務大臣に就任」「錦死刑囚の再審請求が最高裁で棄却され、その日から死刑執行命令書にサインできなくなり、法務大臣を辞任した」って言ってて、これだと2003年から04年にかけて法務大臣だったことになるけど、瀬戸内米蔵は2003年に法務大臣だった(劇場版より)し、2004年3月も法務大臣だった(相棒2 第21話 「私刑」より)し、北条晴臣が保釈された時(2002年末から2003年初め)の法務大臣も瀬戸内米蔵(相棒4 第1話 「閣下の城」より)だけど、どうなってるの?
- 殺された黒木警部補の経歴が、1984年に異動になったはずなのに1985年になってる。(「85年異動」というのを見て右京は「84年まで刑事課の刑事だったようですが」って言ってる。他の資料では84年4月に異動となっている。)
- 「2世代以上前の新札はプレミアがつく場合があります」っていうのはいいとして、どうして黒木警部補は事件の翌年から古物担当になったの? D券が発行されたのが1984年、E券は2004年。コイン商で換金するにしたって20年以上待たなければならない。なのになぜ1984年に異動? ネットワークを作るため? だとしたって、錦貴文の無罪の可能性を考えるなら、しばらくは刑事課でいろいろ調べる方が先なんじゃないの? もしかしたら古物担当になっても待つだけじゃなくて調べてたのかもしれないけど、回想シーン(飯田との会話)では「この25年、わずかな望みにかけててよかったよ。真犯人が盗んだ金をずーっと持ってたら…。そしてもし、それを換金したら…。そう思って、すぐわかるように手配してたんだ。」ってさ、積極的に犯人を見つけるつもりないじゃん。
- 飯田の部屋から発見された紙幣にブラックライトを当てたら指紋が浮かび上がって見えたけど、そういうものなの?
- 右京、無理やり捜索令状を発行させる。
- 「杉下の正義は、時に暴走するよ。」って官房長は言うけど、官房長はどうなの? 違法というか、「超法規的」措置をちょくちょくやるじゃん。
キャスト
水谷豊:杉下右京
寺脇康文:亀山薫
鈴木砂羽:亀山美和子
高樹沙耶(益戸育江):宮部たまき
川原和久:伊丹憲一
大谷亮介:三浦信輔
山中崇史(山中たかシ):芹沢慶二
山西惇:角田六郎
六角精児:米沢守
片桐竜次:内村完爾
小野了:中園照生
岸部一徳:小野田公顕
石橋凌:三雲法男(東京地裁判事)
ベンガル:茂手木進(錦貴文の担当弁護士)
宮川一朗太:犬井芳郎(錦貴文の高校時代の友人)
ひかる一平:飯田正志
成瀬正孝:黒木勝(渋谷東署生活安全課)
伊藤高史:粕谷圭(帝都新聞記者)
樋浦勉:神父(錦貴文の教戒師)
遠藤たつお:緑川達明(東京地検検事)
久松信美:錦貴文(死刑囚)
伏見哲夫:常盤克信
西沢仁太:糸数文雄(渋谷東署鑑識)
志水正義:大木長十郎
久保田龍吉:小松真琴
阿部朋子:富山万里子(品川母娘放火殺人事件の被害者)
桜川博子:富山里美?(品川母娘放火殺人事件の被害者)
児玉頼信:東京地裁職員
上山克彦:監察医
野元学二:コイン商店主
長棟嘉道:保安課長
桜井聖:渋谷東署生活安全課
竹内和彦:
佐藤智美:ニュースキャスター?
中西台次:
かとうかず子:橘ゆり江(元法務大臣)
林隆三:錦文忠(貴文の父親)
主な複数回出演者
- 三雲法男(石橋凌)は相棒6 第1話 「複眼の法廷」で登場。
- 常盤克信(伏見哲夫)は相棒6 第1話「複眼の法廷」で登場。また、稲ぎく(天ぷら屋)主人役で相棒5 第15話「裏切者」に出演。
- 遠藤たつおは山本俊彦(15年前の人質)役で相棒1 第11話「右京撃たれる~特命係15年目の真実」、第12話「午後9時30分の復讐 特命係、最後の事件」、警視庁職員役で相棒4 第21話「桜田門内の変」、宮下(公安調査庁部長)役で相棒5 第20話「サザンカの咲く頃」に出演。
- 久松信美は蜷川輝明役で相棒2 第11話「秘書がやりました」、西康介役で相棒5 第8話「赤いリボンと刑事」に出演。
- 阿部朋子は八木厚子役で相棒2 第7話「消えた死体」に出演。
- 児玉頼信は日本改革党党首役で相棒2 第11話「秘書がやりました」に出演。
- 野元学二は塚原の弁護士役で相棒6 第1話「複眼の法廷」に出演。
- 長棟嘉道は行長武彦役で相棒5 第17話「女王の宮殿」に出演。
- 桜井聖は王子キャブ職員役で相棒3 第12話「予告殺人」に出演。
ロケ地
劇中の場所 | 撮影場所 |
---|---|
警視庁 刑事部長室 | 川崎マリエン 第6会議室[HP] |
東京都監察医病院(外観のみ?) | 和光市役所[HP] |
富山里美の卒業式の写真を撮った場所 | 東映東京撮影所 正門前[地図] |
警察庁 官房長室 | 川崎マリエン 第7会議室[HP] |
聖エレナ修道院 | 前橋カトリック教会[HP] |
茂手木法律事務所の入っている建物 | 加瀬ビル122(東協ビル?)[地図] |
裁判所 | 栃木県議会議事堂[ロケ地情報] |
粕谷が飯田にインタビューした場所 | リーガロイヤルホテル東京[HP] |
黒木が殺された場所 | 四反道跨線人道橋[地図] |
右京と亀山が美和子と話をした公園 | 日比谷公園[地図] |
渋谷東署(外観、捜査本部) | 和光市役所[HP] |
右京と小野田が話をした店 | 日比谷茶廊[HP]<日比谷公園> |
右京と亀山が捜査本部を追い出された後に歩いた道 | 玉川通り(渋谷駅近く)[地図] |
品川北署 外観 | 川崎マリエン 業務棟[HP] |
右京と亀山が三雲法男と話をした公園 | 日比谷公園[地図] |
警視庁 右京と亀山が茂手木と話をした部屋 | 川崎マリエン 第5会議室[HP] |
渋谷東署 コイン商からの通報について聞いた部屋 | 東映東京撮影所 本館 1階 守衛所側の部屋[地図] |
飯田が旧札を換金しようとしたコイン商 | (株)新橋スタンプ商会[HP] |
コイン商を出た後に右京と亀山が歩いた歩道橋 | 青山通り(金王坂の歩道橋)[地図] |
茂手木法律事務所を出た後に右京と亀山が歩いた階段 | 乃木坂陸橋の階段[地図] |
錦文忠が三雲法男と話をした場所 | 国会前庭[HP][地図] |
警視庁 飯田逮捕後に記者会見をした部屋 | 和光市役所[HP] |
官房長室を出た後に右京が歩いた場所 | 栃木県議会議事堂[ロケ地情報] |
ラストで右京と亀山が歩いた場所 | 渋谷 スクランブル交差点[地図] |
<撮影場所ごとのまとめ>
川崎マリエン[HP][当ブログの記事]:警視庁(刑事部長室、右京と亀山が茂手木と話をした部屋)、警察庁(官房長室)、品川北署 外観
和光市役所:東京都監察医病院(外観のみ?)、渋谷東署(外観、捜査本部)
東映東京撮影所[当ブログの記事]:富山里美の卒業式の写真を撮った場所、渋谷東署 コイン商からの通報について聞いた部屋
前橋カトリック教会[HP]:聖エレナ修道院
加瀬ビル122(東協ビル?):茂手木法律事務所の入っている建物
栃木県議会議事堂[ロケ地情報]:裁判所、官房長室を出た後に右京が歩いた場所
リーガロイヤルホテル東京[HP]:粕谷が飯田にインタビューした場所
四反道跨線人道橋[当ブログの記事]:黒木が殺された場所
日比谷公園[当ブログの記事]:右京と亀山が美和子や三雲法男と話をした公園
日比谷茶廊(日比谷サロー)[HP][当ブログの記事]<日比谷公園>:右京と小野田が話をした店
玉川通り(渋谷駅近く):右京と亀山が捜査本部を追い出された後に歩いた道
(株)新橋スタンプ商会[HP]:飯田が旧札を換金しようとしたコイン商
青山通り(金王坂の歩道橋):コイン商を出た後に右京と亀山が歩いた歩道橋
乃木坂陸橋の階段:茂手木法律事務所を出た後に右京と亀山が歩いた階段
衆議院憲政記念館(国会前庭)[HP][当ブログの記事]:錦文忠が三雲法男と話をした場所
渋谷 スクランブル交差点[当ブログの記事]:ラストで右京と亀山が歩いた場所
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