放送日:2006年1月25日
あらすじ
公式
野口史明(渡辺憲吉)の部屋。テーブルには蝶の標本と札束が置かれている。「お断りですよ」。テーブルをはさんで対峙する相手を、帰そうとする野口。その時…!
翌日、野口は自室で刺殺体となって発見される。そこへ、熱心な蝶コレクターの染井繁(飯田基祐)が、警察の制止を振り切り飛び込んでくる。「蝶を取り返してください!」。染井は、野口が持っていた世界に2体しかない新種の蝶『ミヤモトアゲハ』の標本のことを言っているのだ。確かに、前日、札束と一緒に置かれていたその標本は、室内から姿を消していた。ミヤモトアゲハの相場は300万円。もし、標本目当ての殺人だとすると、もう1体の持ち主も危ない。杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)はさっそく、保管場所の城南大学へミヤモトアゲハの第一発見者、宮本洋一郎教授(並樹史朗)を訪ねる。標本は無事。だが、助手の小西美紗緒(板谷由夏)は、宮本教授の悠長な態度が心配でならない。するとそこへ、あの染井が300万円を持って訪ねてくる。ミヤモトアゲハを売ってくれというのだ。教授にその気はまったくないのだが、染井は連日のように現れるという。「あきらめませんよ…いつか必ず…」と、ぶつぶつ言いながら去って行く染井。
野口宅から盗まれた標本は、かつてオークションにかけられていた。300万円で落札したのが野口。競り負けた相手は染井だ。その後、染井はどうにか金を工面し、幾度となく野口の家を訪れたという。しかし、野口が標本を売ることはなかった。その無念さが、染井を動かしていた。「蝶を手に入れるためなら、どんなこともする…」。
その夜、城南大学に再び染井が現れる。美紗緒を捕まえて標本を売ってくれと迫る染井。札束はさらに増え500万円。実家の掛け軸を売ったという染井の狂気に、美紗緒は恐怖を感じ、逃げるように大学を後にするのだった。
あくる日、大学の研究室で宮本教授の他殺体が発見される。標本も見当たらない。当然、染井は重要参考人として聴取を受けるのだが、「天罰ですよ」と笑うばかり。「あの蝶を自分のものにする資格があるのは、この世でただ一人、僕だけなんだ…」。教授も野口も、「あの蝶を心から愛してはいなかった」と言う染井。確かに、野口は染井のような蝶愛好家ではない。しかし自宅には、染井が持っていたのと同様の、ミヤモトアゲハの採取・目撃地点が詳細に記された地図があった。その分布状況を見て、右京はある確信を得る。ミヤモトアゲハの羽化地は、採取された地点よりずっと北にあり、季節風に乗って和歌山まで飛ばされてきたのだと。風上には、5年前に地元住民の反対を押し切って操業を開始したものの、1年で閉鎖となったある企業の工場があった。野口は、そこの元社員。また、宮本教授が代表を勤めていた蝶協会のメイン・スポンサーでもある。工場と今回の事件に、何か関係があるとしたら? 右京は、ミヤモトアゲハが工場の自然破壊による“異常固体”なのではと推理を広げ…。
ネタバレあり
- 野口史明の部屋、テーブルには蝶の標本と札束が置かれているが、「お断りですよ」と野口は相手を帰そうとするが刺される。
- 翌日、野口は自室で刺殺体となって発見された。野口が持っていた世界に2体しかない新種の蝶「ミヤモトアゲハ」の標本は室内から姿を消していた。ミヤモトアゲハの相場は300万円。もし標本目当ての殺人だとすると、もう1体の持ち主も危ない。右京と亀山は保管場所の城南大学へミヤモトアゲハの第一発見者、宮本洋一郎教授を訪ねる。そこへ蝶コレクターの染井繁が現れ、300万円で売ってくれと言ってくる。教授は譲る気はないが、染井は連日のように現れるという。
- 明律化学工業(野口の以前の勤務先)で社長の堀内と専務の小松原に話を聞くと、野口が辞めた頃に工場の建設があり、野口はそれに反対して辞めたという。また、蝶協会の協賛企業に会社の名前があるが、企業のイメージアップのためのもので蝶に興味があるわけではないという。
- 大学の研究室で宮本教授の他殺体が発見され、標本もなくなっていた。美紗緒は「ミヤモトアゲハを発見してから教授は変わった、意味もなく塞ぎ込んだり怖い顔で標本を眺めたりしていた、協会のスポンサー(小松原)を呼んで『ミヤモトアゲハは本当は新種じゃない』と言っていた」と説明。また、前夜染井が来ていたと聞き、染井に宮本が殺されて標本も盗まれたことを話すと「自分でミヤモトアゲハを取らなければ」と用意。染井が出した地図を見て、右京はミヤモトアゲハの採集地点と目撃地点を知る。
- 右京は「風で飛んでくる蝶がいる」と聞き、野口の自宅へ。そこで地図を見つけ、野口もミヤモトアゲハの採集地点と目撃地点を調べていたことがわかる。その風上には明律化学の工場があり、ミヤモトアゲハはその工場付近で羽化したのではないか、野口は「ミヤモトアゲハは新種の蝶ではなく工場による汚染の影響で生まれた奇形」と考えていたのではないかと推理。
- 美紗緒に「ミヤモトアゲハは環境汚染によって生まれた奇形で、宮本はそれに気付いて殺されたのか確かめたい」と言うと、美紗緒が宮本の遺品から発見したミヤモトアゲハの標本を出してくる。それを蝶協会主催のオークションに出すと、染井と小松原が競り合う。小松原が勝ったと思われたが右京が参戦し、最終的には小松原が1億1千万で落札。手続きのために奥の部屋に通すと右京と亀山が待ち構えていて、右京は「野口はミヤモトアゲハを環境汚染によって生み出された奇形と考えてオークションで手に入れて会社に環境汚染を公表して謝罪するよう迫って会社はすぐに工場を閉鎖したが調査せず闇に葬るため野口を殺してミヤモトアゲハを盗んだ」と推理をぶつけるも小松原は否定。「宮本は『ミヤモトアゲハは新種じゃない』と小松原に言ったため宮本も環境汚染の産物と気付いたに違いないと思って殺した」と続けてもやはり小松原は否定。しかし宮本の死体には蝶の鱗粉が付着しており、犯人の衣服にも同じ鱗粉が付着している可能性があり小松原のコートを調べようと言うと、小松原は野口と宮本を殺したことを認めるが「人の暮らしが奇形の蝶を生み出している、なぜ自分の会社だけがその責任を取らなければいけないのか」と開き直る。そこへ美紗緒がミヤモトアゲハの標本を持ってきて、「宮本の友人が昭和50年に採集した個体、友人は宮本に託して死亡、宮本はこれを周りには説明せず30年間探し続けてようやく採集した」と説明。ミヤモトアゲハは工場が建つ前から生息していたが野口はそれを奇形の蝶と勘違いし、小松原もその勘違いを鵜呑みにして殺人を犯したのだった。
- 小松原は連行される。美紗緒は「あなたの勝ち」と染井にミヤモトアゲハの標本を譲る。
キャスト
水谷豊:杉下右京
寺脇康文:亀山薫
高樹沙耶(益戸育江):宮部たまき
川原和久:伊丹憲一
大谷亮介:三浦信輔
山中たかシ(山中崇史):芹沢慶二
山西惇:角田六郎
六角精児:米沢守
板谷由夏:小西美沙緒(城陽大学助手)
河西健司:小松原靖之(明律化学工業専務)
並樹史朗:宮本洋一郎(城陽大学教授)
飯田基祐:染井繁(チョウマニア)
渡辺憲吉:野口史明(元明律化学工業勤務)
十貫寺梅軒:堀内洋造(明律化学工業社長)
志水正義:大木長十郎
林京介:オークション会場の職員?
三浦道郎:オークションの客?
秋川百合子:オークションの客?
黒須貴之:亀山薫(子役)
主な複数回出演者
- 河西健司は本間実男役で相棒3 第8話「誘拐協奏曲」に出演。
- 並樹史朗は監察官役で相棒2 第1話「ロンドンからの帰還~ベラドンナの赤い罠」、第2話「特命係復活」に出演。
- 十貫寺梅軒は蜷川輝正役で相棒2 第11話「秘書がやりました」に出演。
ロケ地
劇中の場所 | 撮影場所 |
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城陽大学 | 共立女子大学 八王子キャンパス[HP] |
明律化学工業の工場 | 新日本製鐵 君津製鐵所 |
オークションの会場(外観、控え室) | 光と風のミュージアム[HP] |
<撮影場所ごとのまとめ>
共立女子大学(八王子キャンパス)[HP]:城陽大学
新日本製鐵 君津製鐵所:明律化学工業の工場
光と風のミュージアム[HP]:オークションの会場(外観、控え室)
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