トップリーグ所属チームの選手が違法薬物を使用していた容疑で逮捕されたことを受け、トップリーグは3月14日から29日まで、3節の休止(代替試合も行わない)を決めました。
それに対して選手会は反発していますが、これについてまとめてみたいと思います。
経緯
流れとしてはこんな感じです。
2019年6月 トヨタ自動車の2選手がコカイン所持容疑で逮捕される(サンケイスポーツの記事)
2020年3月 日野の選手が違法薬物使用容疑で逮捕される(スポニチの記事)
トップリーグ、3月中の開催休止を決定(トップリーグのお知らせ)
選手会が声明文を発表(選手会の声明文)
両者の言い分
トップリーグの言い分としては、
また、同年度内に複数のチームから違法薬物関連による逮捕者がでたことは、トップリーグだけではなく、日本ラグビー界の存在を揺るがす大きな問題であり、非常事態であると考えます。各チームにインティグリティオフィサーを置くなど、再発防止策をトップリーグ全チームと一体となり取り組んできましたが、結果的に不十分だったと言わざるを得ない状況となりました。ファンの皆様や社会を裏切る結果となり、信頼回復に向け真摯に取り組む事、またこれまで以上に踏み込んだ対策が必要であると考えています。
ラグビー競技は、「品位・情熱・結束・規律・尊重」の5つのコアバリューにより成り立っています。このうちのどれか1つでも欠けたら、それはラグビーではありません。今回の事件は、コアバリューの大部分に抵触しており、国内最高峰の名にふさわしいリーグになる為、再度トップリーグとして各チームのインティグリティの追求を図り、トップリーグ全体で正常化を証明する事で、トップリーグ2020の再開が出来るものと考えています。
それに対して選手会は、
違法行為には毅然とした対応を取るべきですが、違法行為に無関係なその他の選手については通常通りのプレー機会が与えられるべきだと考えます。
また、昨年6月にも同様に薬物問題が発覚してから今回の問題が起こるまでのJRFUによる再発防止策は十分であったのか疑問であるにも関わらず、リーグ休止という処置は問題再発の責任の大部分を選手が負わされている形と言えます。
よって我々選手会はこの度の問題再発における責任の所在を明らかにすること、及び今後1年間の再発防止のための具体的な取り組みの説明、全選手・関係者への早急な薬物チェック実施後のリーグ再開を望みます。
同時に我々選手会は、今回の薬物問題を真摯に受け止め、JRFU、企業、チームからのコンプライアンス徹底の要請に協力することはもちろん、当会で従前行ってきた独自のコンプライアンス研修を充実させ、毅然とした態度で改善に取り組んでまいります。選手自身が、自発的に考え、行動していくことでラグビーの価値をいち早く取り戻し、ラグビーファミリーをはじめ、社会の皆さまに競技としての魅力をご理解いただけるよう努めたいと思います。
と反発しました。
個人的な思い
正直、違法薬物の使用は個人の問題だと思います。
(外国人の場合は、「ある国では合法だけど日本では違法」というものもあるので、そういう教育をしっかり行う責任はあるのかもしれませんが)
で、それに対して「リーグの全試合を休止」というのは違うのではないかという気がします。
もし今回、新型コロナウイルスの影響による試合の延期等がなくても同じ判断をしたのかなど、疑問に思う部分もあります。
一方、選手会に対してですが、「違法行為に無関係なその他の選手については通常通りのプレー機会が与えられるべき」というのは同意します。
ですが、試合がなくなればチーム・リーグの収入もなくなるわけで「問題再発の責任の大部分を選手が負わされている形」ではないと思いますし、「JRFUによる再発防止策は十分であったのか疑問」と責任の一端があるかのように言いますが、それを言うなら「選手会の再発防止策も十分であったのか疑問」とも言えます。個人的には、「違法行為に無関係なその他の選手」と同様、協会や選手会がそこまで責められるべきことではないと思いますが。
結論を言うと、「なんかどっちもずれてるんじゃないか」という感じになります。
対策としては、検査の充実(強化)が第一ではないかと思います。
でも、他の競技ではドーピングに対してこういう話をするのに、ラグビーは違法薬物なんですね、というのが……。
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