「現在の感染拡大(第5波)はオリンピックのせい」という主張がありますが、そう言えるのか考えてみます。
直接的な影響
東京都では第5波は6月中旬から始まったというか、その頃から増加が始まりました。
オリンピックは7月下旬からであり、これはさすがに「オリンピックのせい」と言うのは難しいと思います。
また、現在拡大の主流はデルタ株ですが、「持ち込んだのがオリンピック関係者」と証明できれば「オリンピックのせい」と言えるかもしれませんが、5月には都内で確認されており、これも「オリンピックのせい」とするのは難しいと思います。
ですが、開会式の雰囲気を味わうために国立競技場の近くまで大勢の人が行ったり、沿道で観戦できる競技では何重にも人の列ができたり、オリンピック関係者の感染が見つかったりというのはあるので、「オリンピックが直接の原因」となる感染もあろうかと思います。
間接的な影響
オリンピックの影響を考える前に、緊急事態宣言の効果について考えてみたいと思います。
これまで緊急事態宣言が出て感染拡大が止まる、ということがありましたが、宣言の目的は「人出を減らして接触をしないようにすることで感染拡大を防ぐ」というものです。
具体的には
- 「緊急事態」という名前にびびって外出などをやめる人が増える。
- 宣言に伴い、飲食店には時短営業やアルコールの提供自粛を求め、イベントも休止や無観客で実施させるなどして、外出する目的を失わせることにより家にいる人が増える。
- 緊急事態宣言が出る際には相応に状況が悪化しており、その報道に接して「外出しない方がいい」と考える人が増える。
というのが重なって「自粛」が増えると考えられます。
ここで、緊急事態宣言中でもオリンピックが開催されると、
- 緊急事態宣言は何度も発出されて効果は減っている上に、「緊急事態宣言は出ててもオリンピックをしているのだし、それほど緊急事態でもない」という印象を与える。
- 強い措置を取ると「オリンピックはできるのにどうしてこれは駄目なのか」という声が出ることは当然予想され、強い措置(要請)はできなくなっていると思われる。例えば、ゴールデンウィーク前後の第4波では映画館に営業自粛を要請していたが第5波では要請していないとみられ、東京都立の上野動物園も6月に再開して以降、人数制限はあるが今も営業している。 ※追記 新宿伊勢丹や梅田の阪神、阪急百貨店で職員のクラスターが発生していても大型商業施設への休業要請なし。第4波の時には休業要請したのに。
- 第4波の時は大阪の医療崩壊が伝えられ、そのためそれほど新規感染者数の多くなかった東京でも緊急事態宣言の効果があったと考えられるが、今は新型コロナ関連の報道は減り、オリンピック関連の報道がされているため、都内の厳しい状況が伝わらず、人出もなかなか減らない。
以上のことから、「オリンピックのせいで緊急事態宣言の効果が落ちている」とは言えると思います。
まとめ
オリンピックを開催することにより、感染拡大に直接的な影響は少ないとしても間接的な影響は十分あると思います。それを「オリンピックのせい」と言うかどうかは微妙だと思いますが。
でも、東京はもうオリンピックどころではない状況だと思いますが、あと1週間だけ素知らぬ顔をして、パラリンピックは中止、とかするのでしょうか。
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